岩窟の聖母
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構図の分析を始めるにあたって、まずは黄金比が使われている 可能性を疑いましたが、思った結果が出ないまま方向性を見失 いかけた頃、ふと思い当たるところがあって、4人の登場人物の 眉間を緑色の線でつなぎ合わせてみました。すると、下図のよう な「一組の三角定規」が見つかりました。そして、頂点の位置を 少し修正すると、これらは正確な直角三角形となりました。
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次に、「マリア」と「ヨハネ」を黄色の線で結び合わせると、その線 は丁度「ガブリエル」の指先を通りました。そこで今度は、その指先 から指し示す方向へ黄色の線を書き加えると、その線は「キリスト」の 眉間に到達しました。この時、『指先』、「マリア」、「キリスト」に よって描かれた三角形は、正三角形となりました。
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さて、次に登場人物の配置が、画面全体に対して、どのように 関連付けられているかを見ていきました。左図のように、三角形 の各辺を延長し、画面の枠と交わる点を結ぶと、そこに正方形が 現れました。実はこの画面の縦・横の比率は黄金比になっている のですが、この比率の長方形で画面全体を囲ったところ、現れた 正方形は、この黄金比の長方形の中央に、正確に位置づけられて いました。
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更にまた、正方形の左下の頂点から「キリスト」の体の中心線と 「マリア」の頂点を通る直線を引いた時、これが先程の仮想の 長方形の右上の頂点を通りました。このように、4人の登場人物 は画面全体の幾何学的構造の中に、関連づけられていました。
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このように見てきますと、この作品は、図学的に完結した調和 の上に構成されている事が分かります。更にいえば、宗教的な 主題を使ってダヴィンチが描いたものは、図学的に統一された 秩序そのものであったように思えます。合理的な精神は、人間 臭い奇跡の作り話の中よりも、図形の織りなす統一原理の中に 本物の神秘性を感じ取っていた事でしょう。
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<岩窟の聖母>

<洗礼者ヨハネと紡錘棒の聖母子>

<聖アンナと聖母子と幼児聖ヨハネ>

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